琥珀色の誘惑 ―王国編―

(17)砕けた夢のかけらを

舞は声も出ないほど驚いた。

だが、ミシュアル王子にとってはそれ以上だったらしい。俄には信じがたい事実を突きつけられ……。


「なっ、なんだと? ライラ、お前は私やシドを騙していたのかっ?』


どうやらミシュアル王子は、本気でライラが純潔だと思っていたようだ。ビックリし過ぎて、日本語とアラビア語がチャンポンになっている。


(アルって意外と“オンナ”を知らないのかも……)



舞から見れば、ライラの告白は「まあ、そういうこともあるだろう」という内容に思えた。逆に、ミシュアル王子のうろたえ様に呆れ返る。  

そこに口を挟んだのがターヒルだった。


「おおそれながら――つい先ほど、ライラ様のオーストラリア留学中の調査報告書がメールで届きました」


ライラの身辺調査は以前にもしたことがあった。だが、その時は何も出て来なかったという。

ライラの父マッダーフが、巧妙に事実と差し替えていたのだ。今回、その痕跡もみつかった。

ターヒルは舞にもわかるように、日本語で報告書を読み上げてくれた。


< 278 / 507 >

この作品をシェア

pagetop