琥珀色の誘惑 ―王国編―
隣ということもあり、見張りの目を盗んでライラは彼のもとを訪れる。

やがて愛情を抱くようになったライラは、彼に「国に帰りたくない」と告げた。

すると、ブライトンは言ったのだ。


「アメリカに来ればいいよ。僕たちはきっと楽しくやれる」


その言葉を、ライラはプロポーズと信じ、クアルン女性にとって最も大事な純潔を捧げた。

しかし翌日以降、ジョー・ブライトンからの連絡は途絶えたのである。



「なんて男なのっ! 訴えてやれば良かったのに」

「出来なかったわ……妻がいると言われて。婚前交渉だけでも恐ろしいのに、姦通罪まで犯していたんですもの。でも良かった、この子が罪の子でなくて」


言いながら、ライラは写真の我が子を撫でた。

舞にすれば、男の不実さに憤りが抑えられない。だが、ライラはホッとした表情で安堵の涙まで浮かべているのだ。改めて、宗教観の違いというものを舞は痛感する。


< 281 / 507 >

この作品をシェア

pagetop