琥珀色の誘惑 ―王国編―
ミシュアル王子にとってこの離宮は初めての場所だ。内部の構造に関してだけなら、二日ほど離宮に滞在した舞のほうが良く知っていた。
舞は邸内に引き返し、廊下の突き当りまで走った。
木の扉を押し開けると、そこは車庫である。真っ暗で灯り一つない。舞は扉近くの壁に手を這わせ、灯りを点けようとする。だが、どうやらスイッチの配置が日本の家屋とは違うらしい。
その時、シャッターの下りた方向から大きな物音が聞こえてきた。硬い物で何かを叩いている音だ。
「ライラっ? ねえ、ライラでしょ! ちょっと待って!」
舞は暗闇の中、手探りで物音がした方に向かう。
するとミシュアル王子が、
「工具箱が開いている。どうやら、何かを取り出したらしいな」
それが何であるかはすぐにわかった。大きなスパナが一本、シャッターの近くに転がっていたからだ。
鎖で施錠されていた木製の扉は、見事に鍵が壊されていた。
扉の外は意外にも大きな道路であった。舞もここを車で飛び出したはずだが、あの時は夢中で周囲の状況は何も覚えていない。
舞が外に出た瞬間、兵が駆け寄って来て彼女を拘束しようとする。
舞は邸内に引き返し、廊下の突き当りまで走った。
木の扉を押し開けると、そこは車庫である。真っ暗で灯り一つない。舞は扉近くの壁に手を這わせ、灯りを点けようとする。だが、どうやらスイッチの配置が日本の家屋とは違うらしい。
その時、シャッターの下りた方向から大きな物音が聞こえてきた。硬い物で何かを叩いている音だ。
「ライラっ? ねえ、ライラでしょ! ちょっと待って!」
舞は暗闇の中、手探りで物音がした方に向かう。
するとミシュアル王子が、
「工具箱が開いている。どうやら、何かを取り出したらしいな」
それが何であるかはすぐにわかった。大きなスパナが一本、シャッターの近くに転がっていたからだ。
鎖で施錠されていた木製の扉は、見事に鍵が壊されていた。
扉の外は意外にも大きな道路であった。舞もここを車で飛び出したはずだが、あの時は夢中で周囲の状況は何も覚えていない。
舞が外に出た瞬間、兵が駆け寄って来て彼女を拘束しようとする。