琥珀色の誘惑 ―王国編―
首都方面から走ってくる大型トラックの前に、彼女は身を投げ出した!


『ライラ、下がれ!』

「ライラーーッ! 死んじゃだめぇーーっ!」


刹那――ミシュアル王子の大きな手が舞の両目を覆った。

それは彼自身、ライラの死を覚悟した証拠だろう。


三秒とも、三分とも言える時間が過ぎ……。

ミシュアル王子の口から零れた言葉は、舞が思ってもいない人物の名前であった。


『……シド……? ラシード!』


ミシュアル王子の手がなくなり、舞の目に映ったのは――。

道路に横たわる、ライラとラシード王子の姿であった。


< 289 / 507 >

この作品をシェア

pagetop