琥珀色の誘惑 ―王国編―
『ライラの願いを叶えてくれるのか? 彼女に娘を取り戻して……』

『間違えるな。私が叶えるのは舞――アーイシャの願いだ』

『でも……』

『シド、お前にも尋ねておく。ライラの願いを叶える為に、命を懸ける覚悟はあるか?』

『ああ。もちろんだ!』 


兄の刺すような視線に、ラシード王子は武者震いを覚える。


『アッラーに誓って?』

『アッラーに誓って』


ラシード王子の答えに満足したのか、ミシュアル王子は片笑みを浮かべた。


『では――幸運を祈ってくれ』


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