琥珀色の誘惑 ―王国編―
呆れているのか、言葉が出ないのか、ターヒルたちは何も言わなかった。

不気味な静寂が病室の中に広がりる。五月だというのに舞の背中は汗びっしょりだ。

そしてついに、判決を伝えるかのように、ミシュアル王子がゆっくりと口を開いた。


「わかった。私の負けだ。私もアッラーに誓おう。舞、お前の願いを叶えてやる」



刹那、窓から吹き込んだ風が、ミシュアル王子の白いグトラをはためかせた。

細かい砂を含んだ風は、黄金の光となってヒラヒラと舞い落ちる。


きらきら……きらきら……と切ない輝きを放ちながら……。


あっという間に消えてしまう、琥珀色に染まった粉雪のようだった。



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