琥珀色の誘惑 ―王国編―
「控えなさい! お前は女官の分際で、主人の語らいに口を挟むのですか? 身分を知りなさい!」
ライラの叱責に、シャムスはアラビア語で何かを口走った。
訳してくれる人が居ないので、舞にはさっぱりわからない。
「あ、あのさ、シャムス。とりあえず、テントの外に居てよ。わたしは大丈夫だから、ね?」
舞の言葉にシャムスは渋々外に出て行くのであった。
「先ほどのシャムスの言葉、わかりまして?」
ライラの質問に舞は首を振る。すると、
「“コーランの教えに背いた恥知らずな花嫁”彼女はそう言ったのですわ」
「ご、ごめんなさい。あの、シャムスには後でよく言って……」
てっきり、王族を馬鹿にした、と喚き出すのかと思った。しかし、意外にもライラは薄い笑みを浮かべている。
「何を謝るのです? 今は徹底的に秘せられておりますが、もし他の人間が知れば……誰もが同じように言うでしょう。アーイシャ殿、これがこの国の現実です」
ラシード王子同様、ライラも諦め切った口調だ。
しかし、それでも舞は言い返した。
ライラの叱責に、シャムスはアラビア語で何かを口走った。
訳してくれる人が居ないので、舞にはさっぱりわからない。
「あ、あのさ、シャムス。とりあえず、テントの外に居てよ。わたしは大丈夫だから、ね?」
舞の言葉にシャムスは渋々外に出て行くのであった。
「先ほどのシャムスの言葉、わかりまして?」
ライラの質問に舞は首を振る。すると、
「“コーランの教えに背いた恥知らずな花嫁”彼女はそう言ったのですわ」
「ご、ごめんなさい。あの、シャムスには後でよく言って……」
てっきり、王族を馬鹿にした、と喚き出すのかと思った。しかし、意外にもライラは薄い笑みを浮かべている。
「何を謝るのです? 今は徹底的に秘せられておりますが、もし他の人間が知れば……誰もが同じように言うでしょう。アーイシャ殿、これがこの国の現実です」
ラシード王子同様、ライラも諦め切った口調だ。
しかし、それでも舞は言い返した。