琥珀色の誘惑 ―王国編―
「わかった。今宵のみ許す」

「いつもの部屋でよろしいわよね? 最上級の客間は王族のためのもの。そうでしょう、アル?」

「好きに致せ」


ミシュアル王子の許可を貰ったせいか、ライラは勝ち誇った視線を舞に向け、浴室から出て行った。



「日本の風呂より浅いが広いであろう? 気に入ったか?」


ふと気づけば、ミシュアル王子は呆気に取られる舞の目の前にやって来ていた。

舞の身体から微妙に視線を逸らしつつ、濡れた髪に優しく触れる。

 
「ひ、ひどい……あんまりよ! アルの馬鹿っ!」

「何がだ?」

「それは……色々あるけど」

「その色々を言わねばわからぬ」
 

聞きたいことはたくさんある。

ライラの第一夫人宣言とか、王族の反対とか、たくさんいる妃候補の話も。だが、とりあえず。


「ライラが最上級なんだ。わたしは違うのね?」

「通された部屋が気に入らぬか?」


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