琥珀色の誘惑 ―王国編―
――これは後から聞いた話だ。
マッダーフは万一の為、アル=エドハン一族の野営地から五キロの場所に一個師団を待機させていたらしい。
兵士の数は一千人を超え、陸軍の連隊から集められていた。野営地のすぐ近くには、ヘリも用意されていて、師団までの護衛に数百人の部下が構えていたという。
マッダーフは、師団と合流さえすればミシュアル王子より先に首都を制圧出来る、そう考えていた。
その為、二名の部下を囮にして、自分だけ逃げ出そうとしたのだ。
しかし、ミシュアル王子もいち早く師団の動きを捉え、国王陛下に報告していた。そして、王命により師団の動きを封じたのがヤイーシュである。
ヤイーシュはアル=バドル一族と近衛師団を率い、早々と兵士らを散開させた。従わない者は命令違反を理由に逮捕したのだった。
『軍務大臣閣下。ほとんとの兵士はアッラーの名において、国王陛下に忠誠を誓いました。あなたに残された道は、ラシード殿下の義父となり、元軍務大臣として穏やかな余生を過ごされることです。次期ハルビー家当主ワーフィル教育副大臣は、それを望んでおられます』
それは、ヤイーシュがマッダーフに言った言葉だ。
舞はその時、ミシュアル王子に連れられてマッダーフのすぐ後ろにいた。
どうやらミシュアル王子たちは、次期ハルビー家の当主と話をつけ、マッダーフを追い落とす作戦に出たらしい。
マッダーフは万一の為、アル=エドハン一族の野営地から五キロの場所に一個師団を待機させていたらしい。
兵士の数は一千人を超え、陸軍の連隊から集められていた。野営地のすぐ近くには、ヘリも用意されていて、師団までの護衛に数百人の部下が構えていたという。
マッダーフは、師団と合流さえすればミシュアル王子より先に首都を制圧出来る、そう考えていた。
その為、二名の部下を囮にして、自分だけ逃げ出そうとしたのだ。
しかし、ミシュアル王子もいち早く師団の動きを捉え、国王陛下に報告していた。そして、王命により師団の動きを封じたのがヤイーシュである。
ヤイーシュはアル=バドル一族と近衛師団を率い、早々と兵士らを散開させた。従わない者は命令違反を理由に逮捕したのだった。
『軍務大臣閣下。ほとんとの兵士はアッラーの名において、国王陛下に忠誠を誓いました。あなたに残された道は、ラシード殿下の義父となり、元軍務大臣として穏やかな余生を過ごされることです。次期ハルビー家当主ワーフィル教育副大臣は、それを望んでおられます』
それは、ヤイーシュがマッダーフに言った言葉だ。
舞はその時、ミシュアル王子に連れられてマッダーフのすぐ後ろにいた。
どうやらミシュアル王子たちは、次期ハルビー家の当主と話をつけ、マッダーフを追い落とす作戦に出たらしい。