琥珀色の誘惑 ―王国編―
それを受け止めるのに、舞は息も絶え絶えだ。
「儀式を終えるまで、と懸命に堪えているのだ。舞、頼むからこれ以上私を挑発しないでくれ。こんな場所で……狂ったようにお前を奪うわけにはいかぬ」
本当に必死で我慢しているらしい。
ミシュアル王子は微妙に舞から視線を外すが……その全身に力を漲らせたままだ。
爆発寸前のエネルギーを、手を開いたり閉じたりしながら意識の外に散らそうとしているのが明白だった。
「あの……聞いてもいい?」
「手短に頼む」
「わたし、クアルン王国の王妃になるの?」
「そうだ」
短いミシュアル王子の返答に、舞はゴクッと息を飲み、言いたかったことを伝えた。
「本当は嫌いじゃないから、アルのことが大好きだから。もう一度、アッラーに誓って。“妻は生涯ひとりだ”って」
ミシュアル王子は舞の両頬に手を添え、涙の筋を拭いながら言う。
「妻は生涯ただひとり……舞、お前ひとりだと、アッラーに誓う」
舞はそれで充分だと思った。
ミシュアル王子はたくさんの責任を抱えている。これ以上、舞のためだけに振り回すことは出来ない。
「儀式を終えるまで、と懸命に堪えているのだ。舞、頼むからこれ以上私を挑発しないでくれ。こんな場所で……狂ったようにお前を奪うわけにはいかぬ」
本当に必死で我慢しているらしい。
ミシュアル王子は微妙に舞から視線を外すが……その全身に力を漲らせたままだ。
爆発寸前のエネルギーを、手を開いたり閉じたりしながら意識の外に散らそうとしているのが明白だった。
「あの……聞いてもいい?」
「手短に頼む」
「わたし、クアルン王国の王妃になるの?」
「そうだ」
短いミシュアル王子の返答に、舞はゴクッと息を飲み、言いたかったことを伝えた。
「本当は嫌いじゃないから、アルのことが大好きだから。もう一度、アッラーに誓って。“妻は生涯ひとりだ”って」
ミシュアル王子は舞の両頬に手を添え、涙の筋を拭いながら言う。
「妻は生涯ただひとり……舞、お前ひとりだと、アッラーに誓う」
舞はそれで充分だと思った。
ミシュアル王子はたくさんの責任を抱えている。これ以上、舞のためだけに振り回すことは出来ない。