琥珀色の誘惑 ―王国編―
ここから、アル=エドハン一族の儀式があった。
舞の婚礼衣装と同じ、白絹と金糸で織られた長いリボンのようなものが、ふたりの前に差し出される。おそらく、二メートルはあるだろう。
跪いたまま、ミシュアル王子の左手が掌を見せて祭壇の上に置かれた。
そこに、舞の右手を乗せるように言われる。
大きな手の上に舞の手をソッと重ねた。温かくゴツゴツとした指が、これ以上ないほど頼もしい。
手が触れただけなのに、舞は耳まで熱く感じた。その時、王子の指が隙間を割り込み、ギュッと絡ませてきたのである。舞は躊躇わず握り返した。
直後、繋いだふたりの手首が、淡い金色のリボンでグルグル巻きにされ……。
『決して離れず、生涯を共にし、多くの子宝に恵まれることを――アッラーがふたりをお守り下さいますように』
イマームの言葉に、ミシュアル王子はじっと舞を見つめて答える。
『アッラーの望まれるままに』
舞も琥珀色の瞳を見上げつつ、同じ言葉を繰り返した。
その後、花嫁の父であるサディーク王子も同じ言葉を口にし、厳粛な結婚の儀式は無事終了したのである。
舞の婚礼衣装と同じ、白絹と金糸で織られた長いリボンのようなものが、ふたりの前に差し出される。おそらく、二メートルはあるだろう。
跪いたまま、ミシュアル王子の左手が掌を見せて祭壇の上に置かれた。
そこに、舞の右手を乗せるように言われる。
大きな手の上に舞の手をソッと重ねた。温かくゴツゴツとした指が、これ以上ないほど頼もしい。
手が触れただけなのに、舞は耳まで熱く感じた。その時、王子の指が隙間を割り込み、ギュッと絡ませてきたのである。舞は躊躇わず握り返した。
直後、繋いだふたりの手首が、淡い金色のリボンでグルグル巻きにされ……。
『決して離れず、生涯を共にし、多くの子宝に恵まれることを――アッラーがふたりをお守り下さいますように』
イマームの言葉に、ミシュアル王子はじっと舞を見つめて答える。
『アッラーの望まれるままに』
舞も琥珀色の瞳を見上げつつ、同じ言葉を繰り返した。
その後、花嫁の父であるサディーク王子も同じ言葉を口にし、厳粛な結婚の儀式は無事終了したのである。