琥珀色の誘惑 ―王国編―
「……寝台の上では許そう」

「絨毯の上……とかは?」

「それは一度、絨毯の上を試してからだ」


ミシュアル王子は楽しそうに笑うと、舞を再びベッドに押し付けた。


白いトーブの内側に隠された紐を解き、スルスルと脱いで行く。

このトーブは国や宗派によって違い、長いものから短いもの、被るタイプから巻くタイプまで様々だという。

日本の着物に比べたら楽そう、と思いつつ、舞はジッと見つめるが……。


「舞――そう睨むでない。あと、ラシードと比べるようなことも口にしてはならぬ」


上ずったミシュアル王子の声が聞こえた。

舞は違うことを考えていたのでウッカリしていたのだ。なんと、彼女の視線の先には、王子のジャンビーアがあった!

反りといい、艶といい、実に立派な宝剣である。

うろ覚えではあるが、ラシード王子とは比べ物にならないだろう。

もちろん、不本意ながら忍んで来た状況と、愛する女性と初夜を迎える時とでは、ジャンビーアのサイズも変動する可能性はあるが。


「に、にらんでないわよ。そうじゃないけど……」


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