琥珀色の誘惑 ―王国編―
【新婚編】

(1)完璧な結婚

冴え渡る月の光が消えて行く。ひんやりとした空気も熱を帯び始めた。


ゆっくりと、砂漠に朝日が昇る。



早朝の光を浴びて、夫・ミシュアル王子と共に舞は広場に立った。

新妻の目前で砂塵が舞い上がる。彼女の視線の先には、風にひらひらと靡く一枚の白い布――。


昨夜、舞は念願叶ってミシュアル王子の花嫁となった。

彼はこの日まで頑なにコーランの教えに従い、舞の純潔を守ってくれた。


初夜は素晴らしい悦びに包まれ、愛に溢れた朝を迎える……はず、だったのだが……。



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