琥珀色の誘惑 ―王国編―
「あの……白い布は何っ!?」
舞は真っ赤になりつつ夫に尋ねる。
「決まっておろう。初夜の布だ。私たちが夫婦になった証。純潔の乙女を妻にした証だ!」
メチャクチャ嬉しそうに、ミシュアル王子は高らかと宣言した。
舞にすれば信じられない。
確かに彼は、長老に見せると言ってシーツを持ち出した。恥ずかしいけど、儀式なら仕方ない。舞はそう思って自分を納得させたのだ。
ところが! ところがである。
結婚の儀式が行われた広場の真ん中に、まるで鯉のぼりのようにポールに付けて飾られているではないか。
冗談じゃない! と王子に噛み付くが……。
「馬鹿を申すな。何を恥じることがある。結婚するとはそういうことだ。見るがいい、全ての者がお前に好意的で、シークの妻として敬っている」
恥ずかしい、という舞の訴えを、ミシュアル王子は頑として退けた。
言われてみれば、数日前アル=エドハン一族に合流した時とは明らかに扱いが違う。
この国では入籍より、結婚と初夜の儀式を終えることのほうが重要だとは聞いていたが……。まさにその通り、全員がミシュアル王子同様、舞にもかしずくのだ。
舞は真っ赤になりつつ夫に尋ねる。
「決まっておろう。初夜の布だ。私たちが夫婦になった証。純潔の乙女を妻にした証だ!」
メチャクチャ嬉しそうに、ミシュアル王子は高らかと宣言した。
舞にすれば信じられない。
確かに彼は、長老に見せると言ってシーツを持ち出した。恥ずかしいけど、儀式なら仕方ない。舞はそう思って自分を納得させたのだ。
ところが! ところがである。
結婚の儀式が行われた広場の真ん中に、まるで鯉のぼりのようにポールに付けて飾られているではないか。
冗談じゃない! と王子に噛み付くが……。
「馬鹿を申すな。何を恥じることがある。結婚するとはそういうことだ。見るがいい、全ての者がお前に好意的で、シークの妻として敬っている」
恥ずかしい、という舞の訴えを、ミシュアル王子は頑として退けた。
言われてみれば、数日前アル=エドハン一族に合流した時とは明らかに扱いが違う。
この国では入籍より、結婚と初夜の儀式を終えることのほうが重要だとは聞いていたが……。まさにその通り、全員がミシュアル王子同様、舞にもかしずくのだ。