琥珀色の誘惑 ―王国編―

(3)誘惑はオアシスで

砂丘の谷間に存在する小さなオアシス。数十年前はもう少し広かったという。悠久のオアシスにも、いつか終わりは来る。

ミシュアル王子は下半身に集中した熱を冷ます為、そんなことを考えていた。


ナツメヤシの木にラクダのロープを括り付け、ゆっくりとトーブを脱ぐ。

部族の男たちはオアシスが見えない位置まで下がらせた。女は数名、木陰に控えている。呼ばれるまで、決して泉の方向は見ないように命じてある。理由は一つだ。

ミシュアル王子はチラリと隣の木に視線をやった。

その陰に隠れるように、舞は砂色のアバヤを脱いでいる。



「ねぇ……下着くらいは付けててもいいんじゃない?」

「帰りはどうする? 濡れた下着を身に着けたままでいるのか。それとも、下着なしで戻るのか」

「だって、見られたら恥ずかしいし……」

「ここには私の許可なしでは誰も来ない。無用な心配だ」


オアシスでは裸で泳ぐ。予め、そう伝えたはずだった。だが、いざとなると恥ずかしいらしく、舞は及び腰だ。

ミシュアル王子のほうがさっさと脱ぎ、全裸でオアシスの泉に体を浸す。

ほどほどに熱され心地好い水温だ。深さもそこそこ、彼の腰が浸かる程度であろうか。


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