琥珀色の誘惑 ―王国編―
「さあ、早く参れ」


アバヤで前を隠したまま、そろそろと舞は泉の縁に近づいた。


「お前の肌はすでに何度も見ている」

「アルの無神経! ソレとコレとは違うのっ」


何がどう違うのかサッパリ判らない。


今、このオアシスはミシュアル王子の後宮と同じ扱いだ。ここで妻を抱いても責める者はいない。


(いや……舞に責められるか……)


「本当にエッチなことはしない?」


舞は上目遣いでミシュアル王子の表情を探っている。

大きくため息を吐き、彼は両手を上げた。


「水中でお前の中に押し込むような真似はしない。約束する」


彼らしい率直な口ぶりだ。しかし、舞は首筋まで薄っすらと赤く染める。


「付け加えるなら、お前に昨夜のような苦痛を与えることは二度とない。初夜にこだわった為に招いた失態だ。必ずや挽回してみせよう」


……多分。


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