琥珀色の誘惑 ―王国編―
当たり前だが、水の中に潜ったのだ。


熱くなり始めた身体をいきなり放り出され、舞はどことなく寂しい。恥ずかしいけど、イヤって言うけど、急に止めないでよ! というのが乙女心である。


(見えぬようにって……どういう意味なわけ?)


だがその意味は、すぐに判った。

ミシュアル王子は垂直に沈み、舞の太腿を掴むと……内股に唇を寄せたのだ。


「な、なに? きゃ……やぁ」


足を開かされ、先ほど指が彷徨った部分に、もっと熱くなめらかなものが押し当てられた。その感触に、舞は思わず前屈みになる。

彼女の動きに合わせて、水面が小さく波立ち……。


“それ”は初めての感覚だった。水中にミシュアル王子の頭が見える。膝が曲がり崩れ落ちそうになるが……両足をしっかり掴まれてるので、前に倒れることはないだろう。

でも、何かの生き物が大事な部分を這っているようで……。背筋がゾクゾクした瞬間、重心が移動し、舞は後ろに倒れそうになった。


そんな舞を支えきれないと思ったのか、或いは、水中での戯れに息が切れたのか。水面が盛り上がり、ミシュアル王子が姿を見せる。

背中から脇に手を回し、舞を抱きかかえた。


「誰にも見られなかったであろう?」


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