琥珀色の誘惑 ―王国編―
ボタンを一つずつ外していく。男性の服を脱がせるなんて初めてのことで、舞もドキドキだ。


「男は妻に対する欲望を控えるべきではない。時として、女性は悪魔のように男を堕落させることがある。邪悪な欲望を抱いた時はすぐさま妻の元に戻り、正さねばならない」


(ちょっと待ってよ……浮気しそうになったら、代わりに妻を抱くってこと?)


舞は一瞬、疑問を覚える。

それに気付いたのか王子は慌てた様子で付け足した。


「そのような顔を致すな。私はどんな悪魔にも屈しない。妻に……お前にだけ欲情する。舞、可能な限り私を拒んではいけない。――さあ、そのまま下のボタンを外し、ファスナーも下ろすのだ」


(ホントでしょうね!?)


と詰め寄りたい所だが、せっかく盛り上がったムードを壊す必要もないだろう。ミシュアル王子が無神経なのは、今に始まったことじゃない。


舞は、はだけたシャツの隙間にスッと手を差し入れた。

硬く盛り上がって見事に割れた腹筋を辿り、指先でおへその周囲を撫でてみる。ミシュアル王子の体がピクッと震え、口から吐息が零れた。

スラックスのボタンを外し、彼の希望通りファスナーも下ろそうとしたが……。


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