琥珀色の誘惑 ―王国編―
舞はこれまでの経験上、小さい子供にも脚の周りに纏わりつかれるのは苦手だった。性的な意味合いではなく、単に触れられるとくすぐったいだけだと思っていたのだ。


(ずっとズボンだったし……こっちに来ても、アバヤで隠してたし……)


大きなお尻を隠すため、舞は夏場でも長ズボンが多かった。そのため、脚に触られただけでこんな風になるとは想像も出来ない。


「これって何? わたし、やっぱり何かおかしいの?」


ミシュアル王子は舞を仰向けにすると、そっと瞼に口づけた。


「何もおかしくなどない。昨夜もこうなるはずであったのだ」


上半身を包み込むように抱かれ、ぐったりした舞はされるがままだ。頬や耳朶にキスされ『ジャミール(美しい)』の言葉を何度も囁かれ……次はどうなるの? と思った瞬間、ミシュアル王子が中に入ってきた。

ピリッとした痛みが走り、条件反射のように舞の体は硬直する。


(痛い? 痛くなる? ひょっとして昨夜みたいに、また痛くなったら……)


不安が高まると、さっきまでのふわふわした感覚が消え去った。ふと気付けば、舞は衝撃に耐えるべく歯を食い縛っていた。

だが今夜のミシュアル王子は違った。「脚を開くのだ」「力を抜け」といった命令は聞こえてこない。

舞が恐る恐る目を開けると、琥珀色の瞳がジッとこちらを見つめていた。


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