琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ア、アル? 入ったの?」

「いや。まだ三分の一ほどしか進んでおらぬ」

「じゃあ、何で……進めないの?」


舞の質問に、ミシュアル王子は信じられないほど艶めいた笑みを浮かべたのだ。


(い、色っぽい! このホストみたいな笑い方って何っ!?)


三分の一ほど合体した体勢で、誘惑の微笑みを浮かべる王子の心境が判らない。

とはいえ、このきらきら光る琥珀色の攻撃には、舞は出逢った時からメロメロだ。 


「初夜を私に捧げてくれた愛しい妻のため……舞、今宵はお前のためだけに尽くそう」


しかも、舞が一番大好きな低めのバリトンで名前を呼ばれたら……。

ジャンビーアでもゾーリンゲンでも偃月刀(えんげつとう)でも「アルの好きにして」とか言いそうになる。

そんなことを考えながら、ミシュアル王子の首にぎゅうぅとしがみ付いた。


すると、ミシュアル王子が大きな息を吐きつつ、再び囁いた。


「舞、中が熱く潤ってきている。もう少し進もう」


キスと愛撫、そして優しい言葉を繰り返し、舞が気付いた時には、剥き身の宝剣はすっぽりと鞘に納まっていた。


< 422 / 507 >

この作品をシェア

pagetop