琥珀色の誘惑 ―王国編―
「凄いねぇ~。即位の式典って大パレードとか行われるんだ!」


一週間を砂漠で過ごし、ミシュアル王子と共に舞は首都ダリャに戻って来た。思えば、随分久しぶりである。王太子の宮殿に戻るのかと思いきや、舞はそのまま王宮に案内された。

カイサル国王と三人の妻は、この一週間で引越しを済ませたという。



第一夫人ファーティマ妃は、国内に住む一人娘と暮らすことに決まった。七十歳で持病もあるため、いずれ入院することになるらしい。


第三夫人ハディージャ妃は実家であるハルビー家に戻った。異母兄にあたるマッダーフは当主の座を退いたが、ハルビー家が名門であることには変わりない。これまで通り、前王妃として王族の身分のまま気楽に暮らす予定らしい。


そして第四夫人のヌール妃だが、しばらくは国王が王子時代に過ごした宮殿で夫と共に過ごすという。

カイサル国王の体調が快方に向かえば、避暑地ルシーアにある宮殿に移り住むことになった。


舞はヌール妃には後宮に留まって頂き、色々教えて欲しいと思っていた。それ自体は可能なのだが、その場合、ヌール妃は夫と離れて暮らすことになる。

後宮に出入り可能な男性はたった一人、国王のみ。前国王といえども例外ではなかった。


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