琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ライラは、お前には王族女性としての言動を教える人間が必要ではないか、と夫に進言したのだ。明日よりクアルンを発つ一週間後まで、毎日ライラに後宮まで来てもらうこととなった。王族女性としてのあるべき姿を学ぶよう。――よいな!」
舞は開いた口が塞がらない。
ライラを弟の妻として認めることに不満タラタラだったはずだ。それが手の平を返したように言われても、はいそうですか、とは言えない。
そんな舞の抗議に、ミシュアル王子は平然と言い放った。
「それとこれとは話が別だ。ライラは王女の娘として必要な言動を弁えている。第一夫人としては相応しくない不品行が露見したが、妻の役目は重々心得ている女だ」
「それって、ライラを第二夫人だったらしても良かったって口ぶりじゃない!?」
舞が言い返すたび、ミシュアル王子の表情は険しくなる。
「私はお前を正妃とするため、充分に尽くしておる。お前の務めには満足しているが、正妃の役割はそれだけでは足りぬ」
ミシュアル王子の言葉の裏側を察し、舞は震えた声で尋ねた。
「満足って……それだけってどういう意味?」
「夜の務めを果たすだけでは愛妾と変わらぬ。正妃として、まずは王族の女として、お前は学ぶ必要がある。そう言っておるのだ」
「だからって何でライラ!? アルの無神経っ!」
披露宴を明日に控え、新婚夫婦は早くも臨戦態勢となった。
舞は開いた口が塞がらない。
ライラを弟の妻として認めることに不満タラタラだったはずだ。それが手の平を返したように言われても、はいそうですか、とは言えない。
そんな舞の抗議に、ミシュアル王子は平然と言い放った。
「それとこれとは話が別だ。ライラは王女の娘として必要な言動を弁えている。第一夫人としては相応しくない不品行が露見したが、妻の役目は重々心得ている女だ」
「それって、ライラを第二夫人だったらしても良かったって口ぶりじゃない!?」
舞が言い返すたび、ミシュアル王子の表情は険しくなる。
「私はお前を正妃とするため、充分に尽くしておる。お前の務めには満足しているが、正妃の役割はそれだけでは足りぬ」
ミシュアル王子の言葉の裏側を察し、舞は震えた声で尋ねた。
「満足って……それだけってどういう意味?」
「夜の務めを果たすだけでは愛妾と変わらぬ。正妃として、まずは王族の女として、お前は学ぶ必要がある。そう言っておるのだ」
「だからって何でライラ!? アルの無神経っ!」
披露宴を明日に控え、新婚夫婦は早くも臨戦態勢となった。