琥珀色の誘惑 ―王国編―
ラシードが言ったそうだ。『生活環境が何もかも変わって、呼び名まで変わるのは可哀想だ』と。それで、公式行事以外はルナの名前で通すことになったという。
表向きにライラは王女の継母だ。過ぎた愛情を示すことは、疑いを招く原因にもなりかねない。そのため、あらためて王女には乳母が付けられることになった。
そうなれば、ライラは一日数時間だけ乳母と共に王女と過ごすことになる。
「じゃあ……ひょっとして髪も?」
ライラはブラウンの髪を優しく撫でながら、コクンと頷く。その眼差しは慈愛に満ちていた。
このクアルンで生きるのに金髪は目立ち過ぎる。それも悪い方向に。王女の未来を案じ、少しでもラシード王子に似せようと、髪を彼と同じ色に染めたという。
「髪が人目に触れる可能性がある限り、染めることになるでしょう」
「でも、こんな小さな子に」
髪質が傷むんじゃないかと心配になる。
「人目に触れさせず、宮殿に閉じ込めておくよりは、と。シドの決断です。ある程度の年齢になり、ご自覚がお出来になれば、髪は常にヒジャブで隠すようになるでしょう。それまでは仕方のないことです」
「ラシードが言ったの? だったら、アルに相談して」
舞の言葉にライラは微苦笑を浮かべた。
「全て、陛下のご命令ですのよ」
表向きにライラは王女の継母だ。過ぎた愛情を示すことは、疑いを招く原因にもなりかねない。そのため、あらためて王女には乳母が付けられることになった。
そうなれば、ライラは一日数時間だけ乳母と共に王女と過ごすことになる。
「じゃあ……ひょっとして髪も?」
ライラはブラウンの髪を優しく撫でながら、コクンと頷く。その眼差しは慈愛に満ちていた。
このクアルンで生きるのに金髪は目立ち過ぎる。それも悪い方向に。王女の未来を案じ、少しでもラシード王子に似せようと、髪を彼と同じ色に染めたという。
「髪が人目に触れる可能性がある限り、染めることになるでしょう」
「でも、こんな小さな子に」
髪質が傷むんじゃないかと心配になる。
「人目に触れさせず、宮殿に閉じ込めておくよりは、と。シドの決断です。ある程度の年齢になり、ご自覚がお出来になれば、髪は常にヒジャブで隠すようになるでしょう。それまでは仕方のないことです」
「ラシードが言ったの? だったら、アルに相談して」
舞の言葉にライラは微苦笑を浮かべた。
「全て、陛下のご命令ですのよ」