琥珀色の誘惑 ―王国編―
「や……ん。高、かったんじゃない? ハリー・ウィンストンってなんか凄い有名なブランドだって、シャムスが」

「花嫁への贈り物だ。大した額ではない」

「でも……わたし、何にも返せないし、アルにプレゼントとか上げたいけど……」


舞の言葉にミシュアル王子は驚いた。

男にすれば、妻や側室に様々なものを与えることが名誉なのだ。物で返して貰おうなど、考えたこともない。以前の王子であれば、「私を侮辱するのか!?」と声を荒げただろう。

第一、指輪が日本円で九桁の品物だと知れば、舞なら外してしまうかも知れない。


「心配は要らぬ。私はすでに、素晴らしいものを貰っている」


ミシュアル王子は楽しげに微笑むと、舞の衣装を止めていた最後の紐を解いた。そのままスルリと全部脱がせ、天蓋付きのベッドに押し倒す。

舞は自分の体が標準より大きく、それをみっともないと思っている節がある。

彼から見れば、舞の体は折れそうなほど華奢で、どこもかしこも柔らかく女性的だ。欲を言えば、夜はもう少し大胆になって欲しいと思うが……。



舞を妻にして初めて知ったことがあった。


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