琥珀色の誘惑 ―王国編―
クアルン女性はどのような場面においても夫を立てる。

それは夫婦生活に関することも同じだ。どれほどたくさん稼ぎ、多くの子供を与え、更には夫として妻を満足させているか。それは極めて重要なことだった。


だが、舞の……おそらく日本人の価値観は違う。

贈り物の価値より、シチュエーションや思いやりに重きを置くのだ。日本では力強い男より、優しい男が魅力的だと聞き、ミシュアル王子は眩暈を覚えた。

彼の価値観では“優しい”は“軟弱で女々しい”と貶されているに等しい。


そして『夜』である。

妻は夫から悦びを与えられるのは当然だと考えている。アバヤを脱ぎ捨てた彼女らは、積極的に夫を求め、自ら好奇心と欲望を満たそうとする。

一説では、性に目覚める年代にあらゆる性的情報がシャットアウトされているための反動、とも言うが。結婚に伴う子作りという大義名分を得て、彼女らは積極的に情報を集め、解放的になるらしい。


一方、舞は違う。

昼間はあれほどミシュアル王子に逆らい、奔放に振舞っているが……ベッドの上ではひどく従順だ。

夫婦のことは無闇に口にするものではなく、自慢すら恥ずかしいという。


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