琥珀色の誘惑 ―王国編―
「桃子ちゃんも来られたら良かったんだけど……。クアルンって未婚女性の入国が厳しいのよねぇ。父親と一緒でやっと許可が下りるらしいの。さすがに、仕事を休んでお父さんに付いて来てもらうわけにもいかないでしょう?」
星合桃子は舞の親友である。
優しくて、頭が良くて、しっかりしていて、細い足首にミュールの似合う可愛らしい女性だ。舞はいつも、桃子みたいになりたい、と思い続けてきた。
クアルンに来てからも何度か電話で話したが、「日本の結婚式と披露宴には出るからね」と言ってくれた。
しかも「なんか、ね……舞の友達って凄く増えてるよ。八代さんと工藤さん、覚えてる? 高校時代の親友でした。とか言っちゃって」
その名前に舞は引いてしまった。
別の大学に行き、男の子に舞の写真を見せて電話を掛けさせ、わざわざからかいに来た元クラスメートの名前である。
桃子曰く、そういう友達や恩師が山のように出て来て、雑誌やテレビでコメントしているらしい。
だが、幸か不幸か“他国の王妃”という立場が舞を守っていた。
間違っても、「男女と呼ばれるくらいデカくて、だからバージンだったんですね」なんて言おうものなら、クアルンにケンカを売るようなものだ。さすがにそんな向こう見ずな連中はおらず、「昔からモデルみたいに背が高くて綺麗な人でした」とマスコミに答えているという。
実際のところ「モデル並の体型が宝の持ち腐れよ」と言い続けてくれたのは、桃子だけだった。
星合桃子は舞の親友である。
優しくて、頭が良くて、しっかりしていて、細い足首にミュールの似合う可愛らしい女性だ。舞はいつも、桃子みたいになりたい、と思い続けてきた。
クアルンに来てからも何度か電話で話したが、「日本の結婚式と披露宴には出るからね」と言ってくれた。
しかも「なんか、ね……舞の友達って凄く増えてるよ。八代さんと工藤さん、覚えてる? 高校時代の親友でした。とか言っちゃって」
その名前に舞は引いてしまった。
別の大学に行き、男の子に舞の写真を見せて電話を掛けさせ、わざわざからかいに来た元クラスメートの名前である。
桃子曰く、そういう友達や恩師が山のように出て来て、雑誌やテレビでコメントしているらしい。
だが、幸か不幸か“他国の王妃”という立場が舞を守っていた。
間違っても、「男女と呼ばれるくらいデカくて、だからバージンだったんですね」なんて言おうものなら、クアルンにケンカを売るようなものだ。さすがにそんな向こう見ずな連中はおらず、「昔からモデルみたいに背が高くて綺麗な人でした」とマスコミに答えているという。
実際のところ「モデル並の体型が宝の持ち腐れよ」と言い続けてくれたのは、桃子だけだった。