琥珀色の誘惑 ―王国編―
「でも……えっと『陛下にして頂いては、わたくしが叱られますわ』だっけ」


覚えたてのアラビア語でミシュアル王子に返事をした。


真っ白な状態から王族の言葉を刷り込まれるため、舞の上達は早かった。ただ読み書きはかなり難しく、相当時間が掛かりそうだ。


一方、舞のアラビア語にミシュアル王子はてきめん機嫌が良くなる。


『お前はベッドで私を待て。これは命令である』

「そ、そういう言い方をすると……すっごくエッチに聞こえるんだけど」

『判ったならアラビア語で返事を致せ』

『かしこまりました!』


丁寧な言葉を、舞はわざとぶっきらぼうに言ってみる。

すると、ミシュアル王子はニヤリと笑い、舞の横に膝をついた。ベッドはさっきより大きく軋み……彼は舞の顎に指を添え、上を向かせた。


『そうではない。私の後に続いてみよ――陛下の仰せのままに』


目の前にミシュアル王子の瞳があった。


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