琥珀色の誘惑 ―王国編―
(な、なんか、悔しい。いや、だからって、ヤイーシュと結婚なんて出来ないけど……)


舞がブツブツ文句を言っていると、「ヤイーシュと言えば、奴も何か変だ」――考え込むようにミシュアル王子が口にした。


結婚式の準備に忙しくて舞はそこまで気が回らなかった。


「何が変なの?」

「クアルンに帰国次第、花嫁を見つけて欲しい。そんなことを頼んで来た。これまでは自分で探すと言って聞かなかったんだが……」

「へぇーー」


舞はほんの一瞬、胸の奥がドキンとした。


(きっと、遼に「結婚する」とか言われたら……こんな気持ちになるんだろうなぁ)


しみじみ考えた時、


「何だ。その返事は!」


ミシュアル王子は舞の動揺を敏感に覚ったらしい。

ムッとした顔をしつつ、急激に嫉妬の火を燃やして舞を睨んでいる。


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