琥珀色の誘惑 ―王国編―
「ふたりきりは許されておりません。無論、守らぬ者もおりますが……」
ターヒルは嫌味のように、暗く鋭い灰色の瞳を舞に向けた。
「堅物のターヒルはムスリムの教えを破るような真似はしません」
怒ったような顔で口を挟んだのはヤイーシュだ。
彼はターヒルとは対照的な、晴天の空を映したビー玉のような瞳をしていた。砂漠の国には微妙にミスマッチかも知れない。
「殿下も同じでした。それが、国内において、アッラーの神に背くような真似はなさるとは」
「言葉を慎め、ヤイーシュ」
ターヒルに叱られ、ヤイーシュはぷいと横を向いた。
舞に責任があるように言うターヒルはセーフだが、ミシュアル王子の非を口にすることは、この国ではタブーらしい。
(それって随分わたしには失礼じゃない)
舞は少しムカついたが、他に気になることがあった。
ヤイーシュである。
たった一日でこの変わり様はなんだろう。飛行機内では、舞に対して凄く優しくしてくれた。
ターヒルは嫌味のように、暗く鋭い灰色の瞳を舞に向けた。
「堅物のターヒルはムスリムの教えを破るような真似はしません」
怒ったような顔で口を挟んだのはヤイーシュだ。
彼はターヒルとは対照的な、晴天の空を映したビー玉のような瞳をしていた。砂漠の国には微妙にミスマッチかも知れない。
「殿下も同じでした。それが、国内において、アッラーの神に背くような真似はなさるとは」
「言葉を慎め、ヤイーシュ」
ターヒルに叱られ、ヤイーシュはぷいと横を向いた。
舞に責任があるように言うターヒルはセーフだが、ミシュアル王子の非を口にすることは、この国ではタブーらしい。
(それって随分わたしには失礼じゃない)
舞は少しムカついたが、他に気になることがあった。
ヤイーシュである。
たった一日でこの変わり様はなんだろう。飛行機内では、舞に対して凄く優しくしてくれた。