琥珀色の誘惑 ―王国編―
王は四人の妻――王妃を娶ることが出来る。

だが正妃と言われるのは第一夫人だけ。離婚した場合、カイサル国王は新たに第二夫人を娶れるが、妃の順番が繰り上がることはない。


そしてこういう時の言葉も決まっているらしく。第三夫人のハディージャ妃もアラビア語で同じ言葉を繰り返した。

最後に口を開いたのがヌール妃だ。


「クアルンへようこそ。私は王太子の母・ヌールです。あなたを我が宮に歓迎します」


姑となるヌール妃は日本語で話してくれた。

しかも本当に歓迎の意が籠められた温かい声に聞こえ、舞はホッと息を吐く。後は王妃様たちに挨拶を返せば終了だ。


その時、昨日の打ち合わせを無視し、突然ミシュアル王子がアラビア語で話し始めたのである。


『我が妃となる――アーイシャ・モハメッド・イブラヒームです。よろしく、ご指導のほどを』


その言葉の内容をシャムスから聞き、舞は自分の耳を疑う。


(ア、アーイシャって言った? それって誰よっ!) 


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