琥珀色の誘惑 ―王国編―

(2)甘い冒険

キスにはだいぶ慣れたものの、胸を揉まれるなんて初めての経験だ。

天蓋つきのベッドに押し倒された時、ミシュアル王子は舞の服を脱がしただけであった。素肌には決して触れず、下着を掠った程度である。腕や髪に触れられたり、唇でなぞられたりしたのも首から上くらいだろうか……。

その時、舞は思い出してしまった。

娼婦と間違えられたホテルで、ヤイーシュは舞の太腿に触れた。指先がほんの少しではあったけれど。それをミシュアル王子が知れば……どうなるのか考えるだけで恐ろしい。


「私のものだ。私だけの……」


専用機のベッドルームは、飛んでいる飛行機の中とは思えないほど静かだ。

ソファに横になり、耳を押し付けると……低い機械音が振動となって体に伝わってくる。

でも、そんな低音はかき消してしまうほど、ミシュアル王子の声は刹那的だった。


次第に胸に触れる王子の手に、力が加わり始める。ゆっくりと手の平で押すように回していたのが、指を折り曲げ、掴むような仕草に変わった。

絶え間ないキスが舞の唇に降り注ぎ、この先に何が待っているのか、冷静に考えることも出来ない。


「舞……私にも触れるのだ」

「ア、アル?」


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