琥珀色の誘惑 ―王国編―
ミシュアル王子が舞に与えた“アーイシャ”はクアルンで最も好まれる女性の名前だ。預言者の故事になぞらえ『最愛の妻』と同義語で扱われていた。
『……母上が上手く説明して下さるだろう……たぶん』
ミシュアル王子にしては妙に弱気な発言だ。
窓際に立つと白く高い壁が彼の視界に入った。
後宮をグルリと取り囲み、壁の最上部には赤外線センサーが設置してある。そして、二箇所の出入り口は二重で各十二名の衛兵が二十四時間態勢で警備に当たっていた。
その中に舞はいる。今夜、女性だけが出席する歓迎の晩餐会が催され、そのまま、ヌール妃の後宮に泊まる予定だ。
(明日、迎えに来た時、舞は笑ってくれるだろうか……)
木々の間から垣間見える後宮の屋根を見つめ、思いを巡らすミシュアル王子だった。
『……母上が上手く説明して下さるだろう……たぶん』
ミシュアル王子にしては妙に弱気な発言だ。
窓際に立つと白く高い壁が彼の視界に入った。
後宮をグルリと取り囲み、壁の最上部には赤外線センサーが設置してある。そして、二箇所の出入り口は二重で各十二名の衛兵が二十四時間態勢で警備に当たっていた。
その中に舞はいる。今夜、女性だけが出席する歓迎の晩餐会が催され、そのまま、ヌール妃の後宮に泊まる予定だ。
(明日、迎えに来た時、舞は笑ってくれるだろうか……)
木々の間から垣間見える後宮の屋根を見つめ、思いを巡らすミシュアル王子だった。