琥珀色の誘惑 ―王国編―
『殿下! いかが致しました!? 失礼致します』


ターヒルらは緊迫したアラビア語で叫び、今にも飛び込んで来そうだ。 

ドアのノブが回った瞬間――。


『開けるなっ! 開けた者は機外に出てもらうぞ。大事ない。開けるな』


落ちた拍子に“情熱の塊”を打ったらしく、ミシュアル王子は少し涙目だ。

それでも彼は必死になって体を起こし、ロングボレロで舞の肌を隠そうとする。 

その切羽詰った声に、ターヒルらは半分開けたドアから足を踏み入れぬまま、扉は静かに閉まった。


それを見届けると、ミシュアル王子は眉根を寄せ、苦痛に耐える表情で腰の辺りを叩いている。


『私と……したことが』

「アル、ごめんなさい。怒った? わたしのせい?」


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