琥珀色の誘惑 ―王国編―
『待って……許してくれ……助けて』


日本語がアラビア語に変わり、侵入者はベッドから落ちて床を転げまわった。


「馬鹿言ってんじゃないわよ、この強姦魔! わたしに触っていいのはアルだけよ。シャムスたちに何をしたのよ! 取り返しのつかないことをしてたら――あんたの頭、かち割ってやるわっ!」


舞はベッドから飛び降りると、テーブルに置かれた高さ一メートルはある花瓶を持ち上げた。

幸運にも花は入ってない。

それを、一気に侵入者目掛けて振り下ろす!

……が。


「待ってくれ。殺さないでくれ。僕も王子だ――シーク・ラシード・ビン・カイサル・アール・ハーリファ! せめて裁判を受けさせてくれっ!」


侵入者はなんと、王子様だった。


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