弟矢 ―四神剣伝説―
高みの見物を決め込むはずが……。
一矢を名乗る人物が持つ神剣がどうにも気になり、とうとう狩野は表に出て来てしまった。
一見すると、およそ、凡庸以下の小僧に見える。
だが、小娘を庇おうとした動作と、その一瞬に見せた気迫。それは、狩野を制するに十分なものであった。
「我が名は狩野天上。蚩尤軍、大将閣下の補佐を務めます。此度は、武藤殿の応援に来たのですよ。伝説の勇者殿に会える機会など、そうそうございませんので」
狩野と名乗る男は、相手が神剣の持ち主と聞いても、まるで恐れた様子はない。それどころが、いかにも楽しげに薄笑いを浮かべている。
「おやおや、勇者殿は私に怯えておられるようだ」
「ば、馬鹿を言うなっ! 誰が、お前なんか……」
明らかに声が上ずっている乙矢を尻目に、弓月は冷静な声で答えた。
「狩野と申したな。お主がどのような役目であろうと変わらぬ。一矢殿の敵ではない。真の勇者は、不毛な戦いは好まぬ! 蚩尤軍の総大将は、あの仮面の男であろう。奴をここに呼べ。それでこの戦いは終わりだ!」
一矢を名乗る人物が持つ神剣がどうにも気になり、とうとう狩野は表に出て来てしまった。
一見すると、およそ、凡庸以下の小僧に見える。
だが、小娘を庇おうとした動作と、その一瞬に見せた気迫。それは、狩野を制するに十分なものであった。
「我が名は狩野天上。蚩尤軍、大将閣下の補佐を務めます。此度は、武藤殿の応援に来たのですよ。伝説の勇者殿に会える機会など、そうそうございませんので」
狩野と名乗る男は、相手が神剣の持ち主と聞いても、まるで恐れた様子はない。それどころが、いかにも楽しげに薄笑いを浮かべている。
「おやおや、勇者殿は私に怯えておられるようだ」
「ば、馬鹿を言うなっ! 誰が、お前なんか……」
明らかに声が上ずっている乙矢を尻目に、弓月は冷静な声で答えた。
「狩野と申したな。お主がどのような役目であろうと変わらぬ。一矢殿の敵ではない。真の勇者は、不毛な戦いは好まぬ! 蚩尤軍の総大将は、あの仮面の男であろう。奴をここに呼べ。それでこの戦いは終わりだ!」