弟矢 ―四神剣伝説―
「武藤様! 弓部隊は全滅です。護衛につけておりました、関所の兵士もやられました。如何致しましょう?」


不測の事態である。武藤は、即座に命令を出せずにいた。


「やれやれ、『鬼』をどうやって止めるつもりかな。武藤殿」

「やかましい!」


痛いところを狩野に指摘され、武藤は堪らず怒鳴りつける。だが、さすがに相手が不味いと思ったのか、


「後始末は如何様にも、拙者が責任を持ちまする。狩野様、どうぞ、手も口も出されませぬよう」

「それは、失礼致した。だが、どうやら新たな鬼の誕生やも知れませんぞ。或いは、勇者とやらか」


その言葉に武藤が振り返った時――正三が『鬼』を斬り捨てた瞬間だった。その手には『青龍二の剣』がある。


もし、あの若者が神剣の主に選ばれたら、『二の剣』を取り上げるどころか『一の剣』すら奪い返されることになる。

これ以上の失態は赦されることではない。


武藤は精鋭部隊を呼び出し、命令を与えた。


「これより突入する! ついて参れ!」


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