弟矢 ―四神剣伝説―
長瀬の言葉に、乙矢と新蔵は息を呑む。
「正三を殺すのか? でも、誰がそんなこと……」
「乙矢殿……拙者が囮になる。『青龍』はこの身で止める! その隙を突いて……奴の息の根を止めてくれ。我らに正三は斬れぬ。おぬししかおらぬ。奴を……遊馬の剣士として死なせてやってくれ! 頼む」
長瀬に震える声で告げられ、乙矢の鼓動は息苦しいほど早くなった。
心の臓が口から飛び出しそうだ。
「ま、待て、なあ、もっと他に何か」
決心などできようはずもない。しかし、その乙矢の迷いを断ち切るように、正三の前に飛び出した影があった。
「正三! お前に私は斬れぬ。鬼の声に負けるな! 鬼を抑えて剣を納めよ!」
弓月は涙を拭うと脇差をしまい、両手を広げて正三の前に立ちはだかった。
「姫、お止めくだされ! 姫っ!」
正三の瞳の白い部分が次第に濁り始める。黒と混ざり合い、瞳には何も映さなくなっていく。先ほどの男同様、正三は口の中で何事か呟き続けていた。
直後、里が震えるような咆哮を上げ、正三は弓月に襲い掛かった。手にした『青龍二の剣』を弓月の喉元目掛けて突進する。
同時に、乙矢も弓月に向かって走った!
「正三を殺すのか? でも、誰がそんなこと……」
「乙矢殿……拙者が囮になる。『青龍』はこの身で止める! その隙を突いて……奴の息の根を止めてくれ。我らに正三は斬れぬ。おぬししかおらぬ。奴を……遊馬の剣士として死なせてやってくれ! 頼む」
長瀬に震える声で告げられ、乙矢の鼓動は息苦しいほど早くなった。
心の臓が口から飛び出しそうだ。
「ま、待て、なあ、もっと他に何か」
決心などできようはずもない。しかし、その乙矢の迷いを断ち切るように、正三の前に飛び出した影があった。
「正三! お前に私は斬れぬ。鬼の声に負けるな! 鬼を抑えて剣を納めよ!」
弓月は涙を拭うと脇差をしまい、両手を広げて正三の前に立ちはだかった。
「姫、お止めくだされ! 姫っ!」
正三の瞳の白い部分が次第に濁り始める。黒と混ざり合い、瞳には何も映さなくなっていく。先ほどの男同様、正三は口の中で何事か呟き続けていた。
直後、里が震えるような咆哮を上げ、正三は弓月に襲い掛かった。手にした『青龍二の剣』を弓月の喉元目掛けて突進する。
同時に、乙矢も弓月に向かって走った!