弟矢 ―四神剣伝説―

五、守るということ

「やめろぉっ!!」


正三の耳に不意に乙矢の声が飛び込んできた。

その瞬間、正三の手は『二の剣』から離れ、そのまま前のめりに倒れこむ。

しかし、状況が今ひとつわからない新蔵は、そのまま正三に刀を振り下ろした。考える時間はなかった。乙矢は丸腰で、手近にあったのは左肩に刺さった剣のみ……。

乙矢は咄嗟に柄に手を掛けた。


「くっそおぉ――うおおおおりゃあぁっ!」


腹の底から声を上げると、左肩より『青龍二の剣』を引き抜いた!


正三に向かって振り下ろされる刀を受け、そのままの勢いで真横に薙ぎ払う。衝撃に吹き飛ばされ、新蔵は地面に転がった。


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