弟矢 ―四神剣伝説―
―四神剣《ししんけん》―
護国のため、神に選ばれし勇者に遣わされた四種五本の剣。
その波動は凄まじく、正当な持ち主以外が鞘から抜くと、神剣に宿る鬼が目を覚まし、その者を鬼に変えると言われている。
最初に遣わされた四人がそれぞれ四天王家の租であり、彼らの血を引くものでなければ持ち主にはなれない。
宗主であるだけでは持ち主の資格はなく、実際手にして抜いてこそ判るという。
だが鬼になった時は人には戻れないので、かなり危険な賭けである。
これまで何度か盗まれそうになり、その度に数百という血の犠牲を出してそれを止めてきた。
神剣に宿る鬼が、己の主《あるじ》を選ぶと言われるが……。
初代以降、神剣を操る勇者が現れたという逸話はない。
―次ページから本編―