弟矢 ―四神剣伝説―
「し、新蔵じゃねえか? なんであんたがここにいるんだ?」
てっきり蚩尤軍かと思いきや、予想外の人間の登場に驚きを隠せない。
「裏切り者が気安く呼ぶなっ!」
乙矢の返事を聞くこともせず、新蔵は手にした刀を八双に構えると、再び斬りかかった。
慌てて膝で反動を付け、後方に飛びずさる。一回二回と飛んだ後、急に方向を変え前に飛んだ。そのまま地面を転がり、更に踏み込む新蔵の足を狙い、すれ違い様に払った。
さすがに倒れるようなことはなかったが、勢いを削がれたのか、ようやく攻撃が止まる。
彼に毛嫌いされていることはわかっていた。だが、いきなり襲われる謂れはない。
「ちょっと待て! いいか、待てよ……なんなんだ? なんで裏切り者なんだ!」
「白々しい台詞を。よくも我らを謀ってくれたな。弓月様まで裏切りおって!」
それは、一矢が現れた途端、戦線離脱した乙矢を責めているのだろうか? 詳しく聞きたいが、新蔵は異様に殺気立っていて、とてもお話にならない。
「だ、黙って、里を出たのは悪かった……でも」
「『青龍』を何処へやった!? まさか……もう、奴らに渡したのかっ?」
「せいりゅう……って。神剣がどうかしたのか?」
「とぼけるなっ! わかっておるのだぞ。『白虎』を敵に渡したのも貴様であろう!」
その言葉は乙矢の胸に激震を走らせる。
「一矢に……聞いたのか?」
思わず、肯定と同じ質問を乙矢は口にしていた。
てっきり蚩尤軍かと思いきや、予想外の人間の登場に驚きを隠せない。
「裏切り者が気安く呼ぶなっ!」
乙矢の返事を聞くこともせず、新蔵は手にした刀を八双に構えると、再び斬りかかった。
慌てて膝で反動を付け、後方に飛びずさる。一回二回と飛んだ後、急に方向を変え前に飛んだ。そのまま地面を転がり、更に踏み込む新蔵の足を狙い、すれ違い様に払った。
さすがに倒れるようなことはなかったが、勢いを削がれたのか、ようやく攻撃が止まる。
彼に毛嫌いされていることはわかっていた。だが、いきなり襲われる謂れはない。
「ちょっと待て! いいか、待てよ……なんなんだ? なんで裏切り者なんだ!」
「白々しい台詞を。よくも我らを謀ってくれたな。弓月様まで裏切りおって!」
それは、一矢が現れた途端、戦線離脱した乙矢を責めているのだろうか? 詳しく聞きたいが、新蔵は異様に殺気立っていて、とてもお話にならない。
「だ、黙って、里を出たのは悪かった……でも」
「『青龍』を何処へやった!? まさか……もう、奴らに渡したのかっ?」
「せいりゅう……って。神剣がどうかしたのか?」
「とぼけるなっ! わかっておるのだぞ。『白虎』を敵に渡したのも貴様であろう!」
その言葉は乙矢の胸に激震を走らせる。
「一矢に……聞いたのか?」
思わず、肯定と同じ質問を乙矢は口にしていた。