弟矢 ―四神剣伝説―
「参ったな……お前の兄貴は、弓月様と共に里を出ると言ってた。向かったのは遊馬の領地、東国か? それとも、皆実の宗次朗殿を訪ねて南国に向かったのか? 里はもう襲われたのか? 今から引き返して間に合うのか? さっぱりわからん! くそっ、生きてる奴を叩き起こして、口を割らせてやる!」
新蔵の提案に、
「こんな下っ端じゃ意味ねえよ。お前さ、俺に追いつくのにどれくらいかかった?」
「半……日、くらいであろうか?」
「急いでそれ、か……でも、とにかく戻ろうぜ」
「里にか? 確かに里の連中のことは心配だ。だが、弓月様はどうするのだ!? お前に責任を擦り付けるということは、弓月様はもう里におられぬということであろう?」
「弓月殿には、あのオッサンも凪先生も正三も付いてる。一矢が蚩尤軍を使ってまで、俺を殺したいほど憎んでることはわかったけど……でも、神剣に選ばれた勇者なんだ。いや、少なくとも可能性はある。奴が弓月殿を傷つけることはない、と俺は信じる」
新蔵の提案に、
「こんな下っ端じゃ意味ねえよ。お前さ、俺に追いつくのにどれくらいかかった?」
「半……日、くらいであろうか?」
「急いでそれ、か……でも、とにかく戻ろうぜ」
「里にか? 確かに里の連中のことは心配だ。だが、弓月様はどうするのだ!? お前に責任を擦り付けるということは、弓月様はもう里におられぬということであろう?」
「弓月殿には、あのオッサンも凪先生も正三も付いてる。一矢が蚩尤軍を使ってまで、俺を殺したいほど憎んでることはわかったけど……でも、神剣に選ばれた勇者なんだ。いや、少なくとも可能性はある。奴が弓月殿を傷つけることはない、と俺は信じる」