弟矢 ―四神剣伝説―
それは酷な質問であった。でも、乙矢には出せない答えを、新蔵に出して貰いたかった。
――兄を斬れるか? と。
だが、悩むことなく新蔵は答えた。
「斬る。そうしろと、俺は織田さんに教わった。でも――だから、お前に頼みたいんだ。俺には選べない答えを、選んでくれるお前に」
答えをそのまま投げ返され、乙矢は苦笑するしかない。
「調子のいい奴。自分にはできねぇけど、俺にはやれってか?」
「真面目な話だ、乙矢。お前が、真の勇者かどうかはわからん。だが、お前が弓月様を守り、四天王家再興と神剣奪還のため、戦うと言うなら……。俺は、お前を主君と崇め、忠臣となることを誓う」
「忠臣ってお前、いらねぇよ、そんなもん」
半分笑いながら、乙矢は顔の前で手を振った。
「貴様! 俺は真面目に言っとるんだぞっ!」
乙矢のふざけた言動にカッとなり、ついつい襟首を掴んで締め上げてしまう。
だが、「頼まれなくても弓月殿は守る。誰も死なせたくないから、そのためになら戦う。臣下なんぞいらん。第一、お前は仲間じゃねぇか」
照れ隠しで笑った残りの半分は、至極真面目な表情の乙矢であった。
――兄を斬れるか? と。
だが、悩むことなく新蔵は答えた。
「斬る。そうしろと、俺は織田さんに教わった。でも――だから、お前に頼みたいんだ。俺には選べない答えを、選んでくれるお前に」
答えをそのまま投げ返され、乙矢は苦笑するしかない。
「調子のいい奴。自分にはできねぇけど、俺にはやれってか?」
「真面目な話だ、乙矢。お前が、真の勇者かどうかはわからん。だが、お前が弓月様を守り、四天王家再興と神剣奪還のため、戦うと言うなら……。俺は、お前を主君と崇め、忠臣となることを誓う」
「忠臣ってお前、いらねぇよ、そんなもん」
半分笑いながら、乙矢は顔の前で手を振った。
「貴様! 俺は真面目に言っとるんだぞっ!」
乙矢のふざけた言動にカッとなり、ついつい襟首を掴んで締め上げてしまう。
だが、「頼まれなくても弓月殿は守る。誰も死なせたくないから、そのためになら戦う。臣下なんぞいらん。第一、お前は仲間じゃねぇか」
照れ隠しで笑った残りの半分は、至極真面目な表情の乙矢であった。