弟矢 ―四神剣伝説―
――『奴らを殺せ! 敵だ! 敵は殺さんとならん!』
それは、逃げる正三の耳に届いた言葉だ。
寸分違わぬ台詞を彼は覚えていた。神剣を抜いた時、脳裏に響き渡った鬼の声である。どうやら神剣の鬼は一旦目覚めると、結界の中の人間にまで影響を及ぼすらしい。
だが『青龍』は『白虎』や『朱雀』に比べ、それほど強い力はない。鬼が宿る人間が必要だ。
そこまで考えた時、正三の背筋を微弱な電流が伝った。
「やはり、来たか……」
正三の緊迫した声を聞き、おきみは泣きそうな顔になる。震える少女の肩を抱き寄せ、
「心配致すな、私が守る。なぁに、今は礼には及ばぬ。十年……いや、十五年先が楽しみだ。忘れるなよ、おきみ」
余裕の笑顔を見せる正三に、おきみもキョトンとして微笑み返す。
そして、おきみに見えぬように、手の平の汗を拭う正三だった。
それは、逃げる正三の耳に届いた言葉だ。
寸分違わぬ台詞を彼は覚えていた。神剣を抜いた時、脳裏に響き渡った鬼の声である。どうやら神剣の鬼は一旦目覚めると、結界の中の人間にまで影響を及ぼすらしい。
だが『青龍』は『白虎』や『朱雀』に比べ、それほど強い力はない。鬼が宿る人間が必要だ。
そこまで考えた時、正三の背筋を微弱な電流が伝った。
「やはり、来たか……」
正三の緊迫した声を聞き、おきみは泣きそうな顔になる。震える少女の肩を抱き寄せ、
「心配致すな、私が守る。なぁに、今は礼には及ばぬ。十年……いや、十五年先が楽しみだ。忘れるなよ、おきみ」
余裕の笑顔を見せる正三に、おきみもキョトンとして微笑み返す。
そして、おきみに見えぬように、手の平の汗を拭う正三だった。