弟矢 ―四神剣伝説―
凪には見ることが叶わぬ分、気配で大方を察する事ができる。

今の一矢から感じた気……正体はわからぬが、それはまさしく神剣の波動。しかも『青龍』ではなかった。

これまでは上手く隠していたが、里の結界から出たことで、気配が絶ち難くなってるようだ。


里には蚩尤軍の侵入を防ぐため、強めの結界を張った。永遠のものではないが、時間稼ぎにはなるだろう。


凪は新蔵の怪しげな気配も察していた。

だが、それを知ったうえで、乙矢を追わせたのだ。


これでもし、勇者が目覚めぬ時は――。

吉備の山中で迎える最期を、覚悟する凪であった。



< 297 / 484 >

この作品をシェア

pagetop