弟矢 ―四神剣伝説―
その一瞬、高まる殺気に、狩野は神剣との対決を覚悟したが、
『まあいい。わかっているなら早い。この『青龍一の剣』を里攻めに使うよう、武藤に届けよ』
『はっ。しかし、驚きましたな。あなたは虐げられた庶出の勇者だと思っておりました。それゆえに、正嫡の血を絶やそうとされてるのだ、と。あなたが一矢殿であるなら、謀反など起こさずとも、手はありましたでしょうに』
一矢は何も答えず、中空を睨み続けた。
『それに、小姓が一人、姿を消したと聞きましたが……。それは一体』
『殺した。『朱雀』を返せとうるさいのでな。――私はこの手に四神剣すべてを納めるつもりでいる。四天王家など要らぬわ。我が爾志家が、唯一の勇者の血統となる。邪魔な者は殺す』
身の毛が弥立つ感覚に、狩野はゾッとした。そして、差し出された『青龍一の剣』を手にするのを躊躇う。
それを見ていた一矢は、
『心配は要らぬ。その『青龍一の剣』には封印を施した。半紙の封印を破らぬ限り、鬼は目覚めぬ。――だが、貴様は勇者の存在を信じてはおらんだろう? なんなら、抜いてみてはどうだ? 最強の力が手に入るやも知れぬぞ』
『まあいい。わかっているなら早い。この『青龍一の剣』を里攻めに使うよう、武藤に届けよ』
『はっ。しかし、驚きましたな。あなたは虐げられた庶出の勇者だと思っておりました。それゆえに、正嫡の血を絶やそうとされてるのだ、と。あなたが一矢殿であるなら、謀反など起こさずとも、手はありましたでしょうに』
一矢は何も答えず、中空を睨み続けた。
『それに、小姓が一人、姿を消したと聞きましたが……。それは一体』
『殺した。『朱雀』を返せとうるさいのでな。――私はこの手に四神剣すべてを納めるつもりでいる。四天王家など要らぬわ。我が爾志家が、唯一の勇者の血統となる。邪魔な者は殺す』
身の毛が弥立つ感覚に、狩野はゾッとした。そして、差し出された『青龍一の剣』を手にするのを躊躇う。
それを見ていた一矢は、
『心配は要らぬ。その『青龍一の剣』には封印を施した。半紙の封印を破らぬ限り、鬼は目覚めぬ。――だが、貴様は勇者の存在を信じてはおらんだろう? なんなら、抜いてみてはどうだ? 最強の力が手に入るやも知れぬぞ』