弟矢 ―四神剣伝説―
「一体、何がどうなっているのだ! 俺は、どうすればいいんだ!?」
ようやく弓月に追いつける、そう思った途端、急転直下に状況が変わってしまった。
根が単純なだけに、新蔵の頭は爆発寸前である。
しかし問題は乙矢のほうかもしれない。彼の心に芽生えかけた勇者の自覚が、血塗れの正三を目にして、完全に折れてしまう。
「俺のせいだ……俺の」
「乙矢?」
「俺が、奴を殺さなかったから。俺の甘さのせいだ。やっぱり俺はなんにもできない。俺には誰ひとり助けられない。俺は……」
すぐに心が萎え、弱さが顔を出す。挙げ句、そんな自分を見ることで、更に惨めになり……。後は、止め処ない負の連鎖が、乙矢の手足に再び枷(かせ)をはめた。
「なんで助けたんだよ。俺が斬られたほうがよかったのに……」
ようやく弓月に追いつける、そう思った途端、急転直下に状況が変わってしまった。
根が単純なだけに、新蔵の頭は爆発寸前である。
しかし問題は乙矢のほうかもしれない。彼の心に芽生えかけた勇者の自覚が、血塗れの正三を目にして、完全に折れてしまう。
「俺のせいだ……俺の」
「乙矢?」
「俺が、奴を殺さなかったから。俺の甘さのせいだ。やっぱり俺はなんにもできない。俺には誰ひとり助けられない。俺は……」
すぐに心が萎え、弱さが顔を出す。挙げ句、そんな自分を見ることで、更に惨めになり……。後は、止め処ない負の連鎖が、乙矢の手足に再び枷(かせ)をはめた。
「なんで助けたんだよ。俺が斬られたほうがよかったのに……」