弟矢 ―四神剣伝説―
「正三! 真面目にやれ!」
「私は充分に真面目ですよ、長瀬殿。初めての土地で抜け道など知ろうはずがない」
全員の額から汗が流れた。
その直後、後ろの茂みが激しく揺れた!
全員が咄嗟に刀の柄に手を掛ける。
そこから飛び出してきた人影に、最後方にいた新蔵が条件反射で斬り付けた!
「ちょ……待て、待てって!」
「斬るなっ! 新蔵」
その声は誰あろう乙矢だ。
真っ先に気付いた弓月が、新蔵を引き止める。だが、すでに薙ぎ払った剣先を止めることは不可能だった。
乙矢は急制動を掛けて止まる。その喉元を目掛けて、新蔵の刀が襲い掛かった。
その時、新蔵の視界から乙矢が消える!
咄嗟に屈み込むと地面を転がって刀を避けたのだ。
ホッとする弓月とは逆に、乙矢の顔を見た途端、怒りが再燃したのが新蔵だ。
「貴様ぁ! どの面下げて弓月様の前に出て来た! 今度こそ叩き斬ってやる!」
再び刀を振り上げる新蔵を、正三が羽交い絞めにする。
「待たんか。落ち着け。――おい、お前、なぜここにいるんだ?」
「私は充分に真面目ですよ、長瀬殿。初めての土地で抜け道など知ろうはずがない」
全員の額から汗が流れた。
その直後、後ろの茂みが激しく揺れた!
全員が咄嗟に刀の柄に手を掛ける。
そこから飛び出してきた人影に、最後方にいた新蔵が条件反射で斬り付けた!
「ちょ……待て、待てって!」
「斬るなっ! 新蔵」
その声は誰あろう乙矢だ。
真っ先に気付いた弓月が、新蔵を引き止める。だが、すでに薙ぎ払った剣先を止めることは不可能だった。
乙矢は急制動を掛けて止まる。その喉元を目掛けて、新蔵の刀が襲い掛かった。
その時、新蔵の視界から乙矢が消える!
咄嗟に屈み込むと地面を転がって刀を避けたのだ。
ホッとする弓月とは逆に、乙矢の顔を見た途端、怒りが再燃したのが新蔵だ。
「貴様ぁ! どの面下げて弓月様の前に出て来た! 今度こそ叩き斬ってやる!」
再び刀を振り上げる新蔵を、正三が羽交い絞めにする。
「待たんか。落ち着け。――おい、お前、なぜここにいるんだ?」