弟矢 ―四神剣伝説―
「織田さんは……お前が勇者だと、そう信じていた。誰も斬りたくないっていうお前だから、『青龍』は選んだのだろうって。俺も、信じていいんだな」
縋るような視線をスッとかわし、
「いや、だから、さ『一の剣』だけじゃなんとも言えねぇよ。二本揃えて抜くしかねぇか。いや、もっと早いのは『白虎』を取り戻して抜くことだろうな」
「抜くのか?」
『白虎』四神剣、最強の力を秘める両刃の剣。そして、一番危険な神剣と言われる。それを抜くと言うことは……。
「当たり前だろ。この状況だぜ。尻を捲ったって何処にも逃げられねぇだろ。第一、俺は正三の命を貰ったんだ……無様な生き方も、死に方もできねぇよ」
乙矢の言葉を聞いた瞬間、スッと新蔵は背中を向けた。
そして小さな声で「すまん」と一言。――その声も、肩も微かに震えていた。
「いや、出会ってひと月の俺でもコレだ。年季が違うだろ」
「もう一度、一緒に酒を飲みたかった」
それは、喉の奥から搾り出すような声だった。
「飲もうぜ。全部終わったら……俺はなんにも知らねぇんだ。教えてくれよ、正三のこと」
「……ああ」
しばらく無言が続き……やがて、振り切るように新蔵はうなずいた。
縋るような視線をスッとかわし、
「いや、だから、さ『一の剣』だけじゃなんとも言えねぇよ。二本揃えて抜くしかねぇか。いや、もっと早いのは『白虎』を取り戻して抜くことだろうな」
「抜くのか?」
『白虎』四神剣、最強の力を秘める両刃の剣。そして、一番危険な神剣と言われる。それを抜くと言うことは……。
「当たり前だろ。この状況だぜ。尻を捲ったって何処にも逃げられねぇだろ。第一、俺は正三の命を貰ったんだ……無様な生き方も、死に方もできねぇよ」
乙矢の言葉を聞いた瞬間、スッと新蔵は背中を向けた。
そして小さな声で「すまん」と一言。――その声も、肩も微かに震えていた。
「いや、出会ってひと月の俺でもコレだ。年季が違うだろ」
「もう一度、一緒に酒を飲みたかった」
それは、喉の奥から搾り出すような声だった。
「飲もうぜ。全部終わったら……俺はなんにも知らねぇんだ。教えてくれよ、正三のこと」
「……ああ」
しばらく無言が続き……やがて、振り切るように新蔵はうなずいた。