弟矢 ―四神剣伝説―
正三の質問に新蔵は黙りこくる。
「姫、いかがでござる?」
長瀬が最終決断を弓月に委ねた。
全員の視線が弓月に降り注ぎ、彼女は即座に答える。
「宿場に戻ろう。我らに地の利はない。一番詳しいのは乙矢殿だ。私は、乙矢殿を信じます」
一部渋々の者はいたが、一門の宗主代行たる弓月の決断に、異を唱える者はいない。
「承知致した。乙矢殿、おぬしの言葉を信じて宿場に戻ろう。だが、我らが逃げ切るまで、おぬしにも同行してもらうぞ。万一、罠だとわかったその時は、姫より後に死ねるとは思うな」
そう長瀬が念を押した。
「……好きにしろよ」
夜明けまで間がない。
(もう少し、顔を見せるなよ、お天道さん)
空を見上げて、口の中で呟く乙矢であった。
「姫、いかがでござる?」
長瀬が最終決断を弓月に委ねた。
全員の視線が弓月に降り注ぎ、彼女は即座に答える。
「宿場に戻ろう。我らに地の利はない。一番詳しいのは乙矢殿だ。私は、乙矢殿を信じます」
一部渋々の者はいたが、一門の宗主代行たる弓月の決断に、異を唱える者はいない。
「承知致した。乙矢殿、おぬしの言葉を信じて宿場に戻ろう。だが、我らが逃げ切るまで、おぬしにも同行してもらうぞ。万一、罠だとわかったその時は、姫より後に死ねるとは思うな」
そう長瀬が念を押した。
「……好きにしろよ」
夜明けまで間がない。
(もう少し、顔を見せるなよ、お天道さん)
空を見上げて、口の中で呟く乙矢であった。