弟矢 ―四神剣伝説―
『白虎』を掴んだ一矢を包む白濁の光……あの時、『白虎』は一矢を選ばなかった。乙矢の本能に語りかける何かが、それを教える。

このままだと、一矢は『白虎の鬼』になる。

それを引き止めたくて、乙矢は一矢の手から『白虎』を奪い取った。


その瞬間、『白虎』は輝きを変えた。


神剣が乙矢に語りかける。


――我が勇者よ、我を手に。 


「ちがう……僕は……勇者なんかじゃない!」


――そなたに最強の力をやろう。兄を凌ぐ、最強の力を。


「力なんかいらない! かずやを返せ! 僕は……僕は、神剣なんかいらない!」


白い光は浄化され純白となり、やがて透明になった。

まるで日輪が神殿に落ちてきたかの如く、唐突に輝き始め……薄れ行く乙矢の意識の中で、“誰か”ではなく“何か”が笑っていた。


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